活動報告

ラウンドテーブル「つくる・つかう・展示する」

ポリフォニックミュージアム、今年度のアウトプットが終了しました。
1月下旬からのアウトプットを少しずつ振り返ります。
1月末からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で
予定していた形から変更をしながらの開催ともなりました。
そのような中、臨機応変に対応してくださった講師の皆さん、
参加者の皆さんに、心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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ラウンドテーブル (オンライン・クローズド) 
つくる・つかう・展示する
~斎藤清美術館「やないづの家宝展」から考える~
日時:令和4年2月6日(日)13時30分~15時30分
講  師:橋本誠さん(NPO法人アーツセンターあきたディレクター/LMN実行委員会委員)
    我妻泉香さん(柳津町地域おこし協力隊)
    谷野しずかさん(柳津町地域おこし協力隊)
    塚原有季さん(柳津町地域おこし協力隊)


柳津町にある斎藤清美術館では、2019年から「やないづの家宝展」を毎年開催しています。
同館に所属する地域おこし協力隊が、柳津町のみなさんに柳津について取材し、その中で出会った「家宝」のような大切なモノ・コトを地域おこし協力隊の視点でまとめ、表現したものです。
3年目となる「やないづの家宝展2021」開催にあわせ、全国のアートプロジェクトに精通するNPO法人アーツセンターあきたディレクターの橋本誠さんを講師にお迎えして、類似する視点の事例についてもお聞きしながら、地域に残るモノ・コトからわかる「つくること」「つかうこと」の意味と、「展示する」というミュージアムならではの手法について考えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


当日は、一面の雪景色に降り続く雪が重なり、雪国・会津独特の、大地も空も全て白い世界に包まれながらのラウンドテーブルに。
会場としてご協力いただいた斎藤清美術館のガラス面の大きなホールからは、斎藤清さんも描いた赤いアーチ橋とその奥に佇む柳津町の中心・圓蔵寺の見守るような姿も見えました。
ラウンドテーブルのスタートは、「やないづの家宝展2021」の展示会場から。テレビの中継のように展示主担当の我妻さんが、会場から展示を紹介してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、ホールで我妻さん、谷野さん、塚原さんから
「やないづの家宝展」の開催の経緯、今年度の展示開催までの紆余曲折、展示から見えてきたことなどをご報告いただきました。


展示紹介と報告を受けて、橋本さんからは3人への質問も交えながら、アートプロジェクトとも言える「やないづの家宝展」へのコメント、秋田の事例紹介をいただきました。
残念ながら、橋本さんに現地で展示や議論にご参加いただくことはできませんでしたが、終始あたたかい雰囲気の中でのラウンドテーブルとなりました。


「やないづの家宝展」の協力者・柳津町の金子勝之さんからは、町民の目線で、美術館の意義や3人の活動について、地域の文化と継承についてなど、お話をいただきました。


また、本ラウンドテーブルのきっかけとなっている只見町でのアートワークショップ「つくること・つかうこと」を一緒に進めてくださっている只見町の中野さん、昨年度までLMN実行委員会委員としてご協力をくださった岩手大の福留先生もオンラインで議論に参加してくださいました。


つくること・つかうことの意義、大切さ。
それらを伝える展示という仕組み。
次に繋げたい議論となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


当日の様子は、後日、福島県立博物館の公式YouTubeで公開する他、
記録集にも収載予定です。
公開となりましたら、ぜひご覧ください。


主催:ライフミュージアムネットワーク実行委員会
協力:斎藤清美術館

ラウンドテーブル「土地を知るには食から」

ポリフォニックミュージアム、今年度のアウトプットが終了しました。
1月下旬からのアウトプットを少しずつ振り返ります。
1月末からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で
予定していた形から変更をしながらの開催ともなりました。
そのような中、臨機応変に対応してくださった講師の皆さん、
参加者の皆さんに、心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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ラウンドテーブル「土地を知るには食から」
講師:森枝卓士氏(写真家・ジャーナリスト・大正大学名誉教授)
   赤坂憲雄氏(民俗学者・学習院大学教授・元福島県立博物館長)
報告:塚本麻衣子(福島県立博物館学芸員・ライフミュージアムネットワーク実行委員会事務局)
     松尾悠亮氏(昭和村からむし工芸博物館学芸員)
日時:令和4年2月5日(土)13:30~16:00


本当は奥会津・昭和村の、すっぽりと雪に囲まれた、美しく温かみのある空間で、土地の食が暮らしに根ざして残る場所での開催を予定していたのですが、残念ながら完全オンラインでの開催。
講師のお二人も、報告の松尾さんも、参加者の皆さんも全員オンラインで時間を共有しました。


最初は、福島県内の浜通り・中通り・会津の食に関する報告から。
LMN事務局の塚本さんは、今年度ポリフォニックミュージアムで行ってきたアートワークショップの一つ「海幸山幸の道」の食のリサーチについて報告を行いました。リサーチしてきたのは、浜通りのいわき市と中通りの飯舘村。飯舘村から南東に走る阿武隈ロマンチック街道の先にあるいわき市。両地とも今も「食」という暮らしに直結したテーマに震災・原発事故の影響が残っています。そして両地とも、自然からの恵みを大切に、自然に近しい距離感で、農産物・海産物を育て加工している方達がいました。人の身体はその土地の食でできていること、共に食べることの意味を教えてくれるリサーチだったことを報告しました。


奥会津・昭和村のからむし工芸博物館学芸員の松尾さんからは、近年行った昭和村の婚礼料理の再現とそこに至るまでのリサーチのこと。そして再現から見えてきたことについて報告をいただきました。再現で見えてきたのは、今はあまり目にしなくなった婚礼料理、食材を用いた知恵、祝いのセンス。新たな昭和村の看板料理誕生!?の可能性も見えた報告でした。


続いて、写真家・ジャーナリストの森枝卓士さんからは、生まれ育った水俣で高校生時代にフォトジャーナリストのユージン・スミスに出会ったこと。その後、ご自身もフォトジャーナリストとなりカンボジアなどで取材を続ける中、戦争中の人々の食の場面に遭遇し、土地を知るには食を知ることだと考えるようになったこと。その後、世界各地の食を調査し、その土地の市場や台所から見える文化を追いかけていること。同じ料理を比較することで文化の伝播も見えてくること。火を使い、調理を行うことで、食べられる範囲を広くしてきた人間のこと。共食の意味。スマホの発達で誰もが食の記録者になれることなどについて、ご講演いただきました。


最後、森枝さんと赤坂憲雄さんの対談では、水俣と福島の類似点と相違点、都市へのエネルギー供給地としての立地、食と風評被害のことなどについての対話をスタートに、地域の食をいかに掘り起こし、展開していくのかなどについてお話が広がりました。松尾さんから報告された婚礼料理の再現を基盤に、奥会津で昭和村で食をテーマに文化を見直し、地域の皆さんと共有し外に伝える可能性も広がりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


オンライン参加の皆さんからチャットを使って頂いたご感想・ご意見も共有して、ラウンドテーブルは終了。
当日の動画は、後日、福島県立博物館の公式YouTubeで公開の予定です。また記録集にも収載いたします。
どうぞお楽しみにお待ちください。

アートワークショップ「博物館部」レポート⑲

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.12.13
~支援学校と博物館をアーティストと行ったり来たり~
今日は中津川さんとワークショップの日です。支援学校の実習室をお借りします。床に養生をして、水彩絵の具といくつかの大きさの紙を準備しました。人が寝転がれそうな大きな紙もあります。サイズの違う紙を持って生徒さんの目の前に持って行ったり、絵の具を並べたパレットを差し出して「どの色を使おうか?」と声をかけたりします。こうした立ち居振る舞いは、中津川さんの「まわりからこれをした方がいいというのを与えるのではなくて、生徒さんが自分から選ぶのを待ってあげることが大切。」という想いが詰まっています。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑱

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.12.10
~支援学校と博物館をアーティストと行ったり来たり~
中津川さんと博物館を見学します。今日も、自分の見たいところをどんなふうに見てもいいのです。一回目も来てくれた生徒さんたちは、前回楽しんでくれたところへ一直線に向かっていました。見学が終わってから一呼吸して、A4サイズの画用紙にクレヨンでドローイングをしました。中津川さんも、一緒に見学した学芸員さんも、生徒さんたちの一挙手一投足を見守ります。生徒さんが自分から手を動かしてくれるように、ゆっくりと時間を過ごしました。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑰

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.12.8
今日はとある教室のみなさんが博物館に来てくれました。街並みの模型の中にいる小さな犬や、竪穴式住居の中に吊るされたウサギ、土器のモチーフとなった鳥。博物館には様々な動物たちがいます。今日はそんな動物たちを探してもらいます。見つけた動物はインスタントカメラで撮影して記録します。新しい視点で探検すプログラム、終わった後の反省会ではこの結果をマップにまとめ、博物館に来た人に使ってもらえるようにしましょうということになりました。児童・生徒のみなさんにとっては自分たちの視点を誰かに楽しんでもらえる体験となり、博物館にとっては生徒さんたちの新鮮な視点を得る機会となりました。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑯

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.12.6
~支援学校と博物館をアーティストと行ったり来たり~
今日の会場は支援学校で生徒さんたちが日頃授業を受けている“いつもの”教室です。佐野さんと大江さんによるワークショプを行います。博物館を見学したときの映像を見てのふり返りでは、集中して見てくれている様子でした。ここから、佐野さんの進行で自分だけの「博物館box」を作ります。ベースの箱は大江さんが準備してきてくださいました。案内板の光る文字を再現したり、好きな素材を貼ったり、中に貝殻を入れて音が出るようにしたりしました。授業が終わった後、完成したものを手に取って嬉しそうに眺めてくれました。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

ラウンドテーブル「ヤベアベ学級との12月」

ポリフォニックミュージアム、今年度のアウトプットが終了しました。
1月下旬からのアウトプットを少しずつ振り返ります。
1月末からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、予定していた形から変更をしながらの開催ともなりました。
そのような中、臨機応変に対応してくださった講師の皆さん、参加者の皆さんに、心より感謝申し上げます。
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ラウンドテーブル「ヤベアベ学級との12月
~支援学校と博物館をアーティストと行ったり来たりした3週間~」
(オンライン・クローズド)
日時:令和4年2月3日(木)15時30分~17時00分
参加者:佐野美里さん(彫刻家)*テキスト参加
    大江ようさん(TEXT主催)
    中津川浩章さん(アーティスト)
   森内康博さん(映像作家)
    加藤香洋さん(福島県立会津支援学校校長)
    杉本雅昭さん(福島県立会津支援学校副校長)
    矢部翔太郎さん、阿部美由紀さん(福島県立会津支援学校教諭)
    岡部兼芳さん(はじまりの美術館長/LMN実行委員会委員)
    鈴木晶(福島県立博物館長/LMN実行委員会委員長)
*レポート担当アーティスト江畑芳さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年度実践した4つのアートワークショップのひとつ「博物館部」は、様々な方にミュージアムを楽しんでいただけるようになるためにの取り組みです。
その一環で、12月に福島県立博物館を訪れてくれた福島県立会津支援学校高等部2年4組の3人は、博物館と支援学校を3人のアーティストと行ったり来たりしながら、博物館で過ごし、支援学校で創造を楽しんでくれました。講師として3人と一緒に過ごした佐野さん、大江さん、中津川さん。中津川さんには、博物館と支援学校を行き来するという特異な条件を活かしたワークショップの枠組みを作っていただきました。そして、行ったり来たりの3週間を記録し、そこから見える大切なことを伝える映像作品を作ってくださった森内康博さん。
関係する皆さんと、会津支援学校の加藤校長先生、杉本副校長先生、高等部2年4組の担任の矢部先生、阿部先生。そして本事業に適切なアドバイスと共に伴走してくださったLMN実行委員会委員ではじまりの美術館長の岡部さん。
皆さんにご一緒いただき、事業を振り返るラウンドテーブルをクローズドで開催しました。


スタートは、森内さん制作の映像作品の初お披露目。丁寧に大事なことを捉える視線で3週間を追いかけた森内さんは、大切な気づきをたくさんくれる映像作品を作り出してくれました。
映像に多くの糸口をもらって、ディスカッションがはじまりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人が博物館で気持ちよく楽しめるように気を配り、時に心配しながら、予定調和のない3人の行動に良い意味で振り回された大人たち。
学校以外の大人と生徒たちが出会える場を大切にした支援学校の先生方の思い。外部との接続を積極的に図ろうとする学校の柔軟な解放性。
生徒が博物館の様々な要素(展示のスチールの台の穴やガラスケースのスベスベ!)を気に入り、展示品ではないモノに価値を見出す3人を新鮮な驚きとともに受け入れた博物館。
アーティストが関わることで生徒たちの創造性が引き出され、新たな表現が生まれたこと。
家でも学校でもない場所で、多くの人が障がいに出会い、知る場となれるミュージアムの可能性。
当初は、福島県立博物館に集まって行う予定だったラウンドテーブル。全員オンラインとなり、画面越しでの意見交換となりましたが、引き続き今回のような場を設けることへの応援をみなさんからいただいた、とても嬉しい時間になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LMN実行委員会委員長の福島県立博物館鈴木館長をはじめ、事業を担当したLMN実行委員会事務局の川延副館長、小林、江川学芸員は、中津川さんのワークショップで3人が描いた作品を飾らせていただいた博物館のレストランから出演しました。
森内康博さんの映像作品、ラウンドテーブルの動画は、後日、福島県立博物館の公式YouTubeで公開の予定です。
公開となりましたらぜひご覧ください。

ラウンドテーブル「開く、ミュージアム」

ポリフォニックミュージアム、今年度のアウトプットが終了しました。
1月下旬からのアウトプットを少しずつ振り返ります。
1月末からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で
予定していた形から変更をしながらの開催ともなりました。
そのような中、臨機応変に対応してくださった講師の皆さん、
参加者の皆さんに、心より感謝申し上げます。
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ラウンドテーブル「開く、ミュージアム」
日時:1月23日(日)13:30〜16:00
講師:柳沢秀行氏(大原美術館学芸統括)
   楠本智郎氏(つなぎ美術館主幹・学芸員)
   岡村幸宣氏(原爆の図丸木美術館学芸員)
ディスカッションモデレーター:川延安直(福島県立博物館副館長)
会場:福島県立博物館 講堂


大原美術館の柳沢さんからは、コロナの状況下の厳しい美術館運営、その中で改めて気づいた様々な「ステークホルダー」との関わり、様々な地域資源の結節点、露出点としての美術館の存在意義について、これまで実施してこられた様々な取り組みのご紹介とともに、お話しいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つなぎ美術館の楠本さんからは、水俣病からの地域の再生と魅力的な文化的空間の創造を目的に開館したつなぎ美術館の、地域と創り上げてきた、地域の魅力を見つけるいくつかのユニークなプロジェクトについて教えていただきました。行政との連携も大事なキーワードでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丸木美術館の岡村さんからは、丸木位里・丸木俊夫妻が描いた「原爆の図」のための美術館という美術館の特性から、多くの方の支援により運営されてきたあり方とその現在の課題と、2011年以降東日本大震災と原発事故に向き合う場としての意味を持つようになった美術館のこれからの役割ついて、お話しいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後半行ったディスカッション「開く、ミュージアム」では、3人の方とモデレーターを務めた川延福島県立副館長がミュージアムを「開き続ける」こと、の難しさと大切さについて語り合いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


まだまだ議論を聞きたいぐらいだったラウンドテーブル。
オンラインと来場、それぞれの方法でご参加くださった皆様、ありがとうございました。
このようなテーマで、また皆さんと考える場を作っていきたいと思います。
本ラウンドテーブルの内容は、記録集に掲載するほか、当日の録画データを福島県立博物館の公式YouTubeで公開の予定です。
もう一度改めて見たかったという方も、気になっていたけど参加できなかったという方もぜひご覧いただければと思います。
お忙しい中、ご登壇くださった3人の講師の皆さん、ご参加の皆さん、本当にありがとうございました。
議論を次に繋げたいと思います。

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート⑥

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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「白河」という街から受け取ったものを、写真を使って表現していく過程からは、自分の嗜好を通して地域そのものが発する語りを感じる力が、それぞれの内側から顔を出してくるのを見るようでもあった。10年後には残らないかもしれない景観や表面には見えない記憶が、歩きや写真、語りを通して個人の中に蓄積されてゆく。個々の価値のありようが可視化され、共有され、互いの視点の交換を通して多くに触れることができる仕組み。それは、その地域にある重層的かつ多様な価値の集合知のようにも見えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれは、何に価値を見出すのかの根っこは、個人個人でしかないという、基本にも立ち帰らせてくれると同時に、3枚に絞り込む瞬間、道順を作った瞬間など、個人の視野からグループへの関わりへと変化するにつれての取捨選択は、個から公へと変化していく過程のようでもあり興味深かった。


実際に体や手を動かし、自分と他者を介在させながら感覚開拓が為されていく点、また、地域を知る楽しさを体感しながらも、気がつけば主体的に地域への眼差しが変化していく点も、このまち歩きスゴロクの醍醐味だろう。例えばまちに残る懐古的なものから過去を大事にする地域性の話が出てくるように、開かれる場所と一緒に作るメンバーによっても、開拓される感覚は変わるはずだ。いろんな地域・場所・人でまち歩きスゴロクを作ってみたらどんなものが浮かび上がってくるだろうか。自分の感覚を通して地域に潜む重層性に触れ、集った異なる視座からさらに多面的に物事を捉えていく経験は、参加者はもちろんのこと、地域自体にも思いもよらないさまざまな価値を付加してゆき、人も地域もより豊かで幸せなものにしていくのではないかと、参加者の皆さんの満足そうな表情をみながら思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート⑤

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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さて、全員の写真のプリントが終わり、机には空欄のスゴロクのシートが置かれ、それぞれが選んだ3枚の写真が渡される。写真は自分以外には見せては行けないルールだ。話す順番を決め、1枚ずつ、選んだ理由を話しながら、写真を置いてゆく。全部が出揃ったところで、もう一度マップで確認しながら歩くルートの道順に合わせて写真を並べ替え、スゴロクのマスに配置する。道順が決定したら糊で写真を貼り付け、写真の横にコメントを入れ、スゴロクの空欄のコマにオリジナルのゲーム性を加え、タイトルを付けたら完成だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じような体験をしているように見えて、出来上がったスゴロクは、チームによってコメントの書き方も拾い上げられた内容も、全く違っていた。スゴロクを始める前に、ぐーちーむ、ぱーちーむで交換。別のチームが見ていた世界が目の前に開かれ、また違うアプローチで作られた視点に目を丸くする参加者たち。そしてサイコロを振りながら、この日のクライマックスであるスゴロクがスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お地蔵さん、お城、自動販売機、何の電話番号かもわからない電話番号。祈祷師。謎の神社&鳥居。謎のミニ博物館。変わらないお菓子屋のおばあちゃんの妖怪疑惑。謎の穴。たくさんのミステリーが展開し、あがりを競うスゴロクのゲーム性にだんだんみんな前のめりとなっていった。“振り出しに戻る”が仕込まれたスゴロクのチームでは「ここまできて〜!?」「うわ〜!!」と奇声が上がり、最初のあがりは、ゴールに進むコマからのジャンプ。「そんなあがりかたある〜?」と笑う陸奥さん。「振り出しに戻るが強烈すぎて内容思い出せない」という感想が出るほど、学生も大人も夢中になってゲームを楽しんでいた。
(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート④

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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グループごとにテーブルを囲むように座り、まち歩きスゴロク作りで使う写真を3枚選ぶ。選んだ写真をQRコードから読み取ったメールに添付して送り、店内の壁側席で、事務局の山本さんが、どんどんプリントしてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マニアックなのが多いな〜」陸奥さんは、プリントされてゆく写真を見て何やら嬉しそうだ。「大阪は早い。写真もポンポンポーンと散歩中に送られてくる。白河ではみんな戻ってきてから悩み、そこから3枚…スローだねえ」と、じっくりと悩む参加者たちをニコニコと見回してこれまた嬉しそうに呟いた。古いものがそのまま残っている白河の街は、時間の進み自体もスローなのかもしれない。その空気がその場所にいる人にも伝播するのか、EMANONに集まる人たちはゆっくり時間を楽しむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

選び終わった参加者たちは、配られた白河のマップを囲み自分たちが歩いた場所を指差しながらお互いの旅の話をはじめた。1時間歩いたのに、ほとんどの人が意外と狭いエリアをぐるぐると回っていたことに驚く。いっぽう一人ぶらりと歩くのが好きだと話していた学生さんは、地図をはみ出して歩いていたことを知り、これまたみんなの驚きに。駅舎を撮影するのが好きという高校生は、スマホに撮りためた駅舎の写真や小峰城の写真をみんなに見せた。話しながら電車賃のことを「家賃」とつい言ってしまった高校生は、きっと住みたいくらい電車が大好きなのだろう。一人で歩きたい派、一緒にワイワイ歩きたい派など、個性が出るのも面白い。「普段は車で通っているから歩くこと自体が新鮮だった」と語った地元の高校生は、ダルライザー(白河のヒーロー)自販機、駄菓子屋など、よく知っていると思った町での新たな発見やその場所の思い出話を興奮気味に話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑮

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.12.3
ある教室の生徒さんに、まずは博物館に来てもらい、展示を鑑賞した前回。次のステップとして、博物館をより深く知るために、また自分だけの見方や発見を体験するために、テーマを設定しました。「博物館で動物さがし」博物館に隠れている動物を探す企画を西澤さんが考えてくださいました。今回も、博物館に行く前に教室で事前学習をします。西澤さんとサポートに入ってくださる北村美香さんとオンラインで繋いで、企画の説明をします。手作りの青色と赤色の札を各自に配り、意思表示に使ってもらいました。これはクイズに答えることもできるし、わからないことがあったときや助けてほしいときのサインにも使えます。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑭

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.11.30
今日は支援学校の生徒さんたちに、彫刻家の佐野美里さんとデザイナーの大江ようさんと一緒に展示を見学してもらうワークショップです。佐野さんがやさしく声をかけながら展示室を巡ります。生徒さんは二人。それぞれの興味の持てるところを好きなように見てもらいます。目で見て理解しやすい行程表や、疲れたら休憩する場所も準備しておきました。
一人の生徒さんが疲れてしまったときは、先生がすかさず声をかけてくださり休憩場所に移動。しばらく座り込んでしまいましたが、ゆっくり時間をとると展示室に戻ってくれました。見学を終えて博物館を出るときには晴れやかな表情でした。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑬

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.11.29
「当日の流れや関わる人たちのことを、生徒さんたちに知っておいてもらうのが大切」ということは伊藤さんのレクチャーでも、中津川さんのアドバイスでも出た大切なポイントです。
それを実践すべく、今日は支援学校の生徒さんたちに博物館を紹介します。できるだけイメージしやすいように、博物館の入り口から撮った写真(撮影:那智上智さん)と地図を見せながら順路の通りに説明していきます。そして、どんな人に会うのかも動画で紹介しました。準備をたくさんしてきたので、いよいよ本番が近づいてきたという感じがします。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑫

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.11.22
今回、参加していただける生徒さんたちの様子に合わせて企画を作っていったため、ワークショップをしていただく作家さんの選考も同時進行で進めました。スケジュールがなかなか合わなかったのですが、二人の作家さんに二つのワークショップを組んでいただくことで調整できました。美術家の中津川浩章さん 彫刻家の佐野美里さんです。そして撮影にはらくだスタジオの森内康博さんに入っていただきます。
中津川さんにワークショップの大枠を組み立てていただき、その枠をもとに細かい打ち合わせをしていきます。
「興味を持ったところに反応してくれる〈瞬間〉を捉えてほしい。」と、佐野さん。
「彼らがどんな〈世界〉を生きているのかを記録して、伝えられたらすごくいいよね。」と、中津川さん。
初顔合わせでぐぐぐっと森内さんの肩に乗る責任が大きくなったのでした。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ海幸山幸の道 いわきリサーチ

NPO中之作プロジェクト清航館のアンコウ吊るし切りイベントの取材を予定していた1月16日未明、いわき市沿岸部に津波警報による避難指示が出されました。
原因はトンガの火山爆発。
イベント主催者も避難され、イベントは中止かと思われました。


食のイベントで用意した食材を無駄にすることはできない。
主催者の豊田善幸さんの強い思いにより、会場をいわき市平の廿三夜尊堂に変えて実施することとなりました。
当初参加を予定されていた方の他にも、SNSで「やるよ!集まって!」という呼びかけに応じ、いわき市内の様々につながりのある人々が廿三夜尊堂に集いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


津波警報による避難指示発令は、東日本大震災の記憶を否が応でも呼び覚まします。
何とも言えないざわざわとした雰囲気の中で、アンコウが調理されていきました。
アンコウが見事に解体され、かつ全てを無駄にせず鍋の中で煮込まれていく間、
集まった人たちが、ぽつりぽつりと語り出します。
廿三夜尊堂の隣に昔、映画館があったよね。
そこで「おもひでぽろぽろ」見たな。
高校生の時、来てたね。
鍋をかきまぜながら、この場所にまつわる記憶が語られ、共有されていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ぽつぽつと集まった人々が、アンコウ鍋をいただき、記憶を語る。
こどもたちが、その周りで駆けまわる。


「食事」
食べることとは何でしょうか。
場の共有 経験の共有 記憶の共有。


非常時に共に食べることで、
食べることとは何か、をとても考えるリサーチとなりました。

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート③

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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昭和っぽい模様ガラスがかわいい、レトロな看板もいいね、などなど雑談をしながら歩いていくと、だるま隊長と書かれただるまのキャラクターが飲酒運転根絶を訴える旗が目に入った。すると語り出したのは地元の高校生。「だるま隊長」というネーミングで応募したのは彼女の知り合いなのだそうだ。彼女自身も「だるまりさん」というだるまとお巡りさんを掛け合わせた名前で応募したが落選だったのだそうだ。絶妙なネーミングで、それもいいね!としばし盛り上がる。風にはためくだるま隊長の文字がだるまりさんに変わっているのを想像し、だるまりさんだとやさしく許してくれそうだなとふと思った。


個人的な思い出話というのは、案外面白いもので、しかも個人的なものだから、市販のガイドブックにも歴史の教科書にも出てくることはないが、それが投げ込まれた途端に、その場が劇場になっていくようにも感じる時がある。今回は特に、案内人が不在なまち歩きだからこそ、徒然なるままに、発見したこと共有したり、思い出話を語ったり。そうやって自分たち自身で風景が一気に物語性を帯びる瞬間を重ねていくことで、町の中にある面白さは見る側によって開発されていくものなのだと気づいていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

民家の玄関先に置かれた鳥居、穴が空いた壁。錆びに覆われた標識。謎の祈祷所。電話番号だけの看板ミステリー。謎のミニ博物館。白菜を配る夫婦。歩く先で出会いがあり、面白いものを探し続ける。あっという間に1時間が経ち、急ぎ足でEMANONに戻ってきた参加者たちは「寒い寒い」と言いながらも皆清々しい表情だった。感想を聞くと、「いい町だなと思った。歩いていると人情味を感じた。古いものをあえて残す。そこに、町を大事にしてきた、街に対する愛着が感じられて、とてもいいなと思いました」「今までこんなに細やかに街を見たことがなかった。歩いてみると発見がたくさんあった!」「染物屋の看板でも、タオルって書いてあるのを見て、新しく作り直す場合でも、あえて古い形式を残し続けているところが、いいなあって思った」「普段はそんなにじっくりいろんなものを見ない。もっと街について知りたいと思ったし、また歩きたいと思った」「白菜を配っている老夫婦がいた!留守だろうが軒先に置いて、次々家に置いていっていたんですよ!」「白河の人情味があるコミュニティー、景色だけじゃなく、いろんな人の姿に出会えたのもよかった」「小学校以来行っていなかったお菓子屋のおばちゃんが全く変わっていなかった!」と各々が何かと出会えたという嬉しさに溢れていた。
(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート②

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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白河の街は、東北に向かう交通の要所として発展し、松平定信が藩主だったことでも知られている。小峰城がシンボルとして聳え、街中の小径は江戸の城下町の名残りもあり、さらに昭和のレトロ感のある建物があちこちに散在し残っていることから、独特のノスタルジックな雰囲気を醸し出している。そんな小径を歩きながら、寂れた建物を「エモい」とスマホでカシャ!猫を見つけてキャッキャしながら追いかけてカシャ!散歩気分で撮影をする参加者たちの姿は自然で、スマホが普及し、写真を何の気無しに撮ること(プライベートへの配慮は当然必要だが)が日常の風景になっている現在を反映した企画であることを思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古い昭和のビルや家が並ぶ細い道を歩いていくと「老舗通り」と書かれた小径が現れ、石畳の道のサイドには「染物屋」と看板を掲げた江戸情緒のある建物が並んでいる。看板に書いてあるメニューや建物の様子などを見て語らいながらの散歩が続き、さらに歩いていくと駅に向かう大通りの奥に小峰城が見えてくる。この道は近年になって電柱を地下に埋め、景観を整備したのだそうだ。交通の要所だったこの地域には全ての宗派の寺があるらしいと市役所職員の解説を聞きながら進むと、河原に出た。川岸に続く細い道が見え、石橋が所々に架かり、遠く山並みを背に情緒ある風景を作り出していた。繁華街近くにある石橋は「親不孝橋」と呼ばれていたのだそうだ。酔っ払って橋から落ちる人が多かったのだろうか…?そんな想像を膨らませながらそちらへと歩いていく。ここでまた河原へと歩き出した1人を見送る。バラバラに歩いているようでいて、小径を曲がるとバッタリ会って合流したり、遠くに姿が見えたり。ゲームのような感覚も楽しみながら、またね、と手を振り合う。いつもは通らない道を、もしくは知らない町を歩くというちょっとした冒険の不安の中で、知った顔に会うと不思議なもので、それぞれの道行の中でも、仲間意識が少しずつ芽生えていくものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

親不孝橋を渡り、昭和な街灯が並ぶ飲み屋街へ。ここはかつて白河の竹下通りと呼ばれていたというミニ情報に驚きの声が上がる。すっかり鄙びてしまったビル街では、埃が積もった店内の様子が垣間見えたり、看板は色褪せ、蔦が随所に絡まり、人の気配はほとんど感じられない。…と思いきや、「パブレストラン」という大きめの看板が飛び込んできて、どうやらここは人気店で、カレーが美味しく、有名マスターがいるとの情報が出てくる。ディープ白河がチラリと見えた気がした。


(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート①

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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2021年12月5日、白河、快晴。築90年の古民家を改装して作られたコミュニティ・カフェEMANON。ここが、今日のワークショップ「白河まち歩きスゴロクをつくろう!」の会場である。“高校生や大学生たちが自分たちで白河を歩いて、おもろいもんを見つけてくる。スマホで撮影して3枚写真をプリントアウトして、それらを組み合わせてまち歩きスゴロクを作る”というこの企画の発案者が本日の講師、作務衣にストールをかけハットを被ったいでたちの大阪人、陸奥賢(むつさとし)さん。ほんのりと暖まったカフェは、ワークショップの動画記録班・写真担当・白河市役所の職員たち・LMN事務局スタッフ勢で朝から賑わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

集合時間の10時頃になると、カラカラ、と音を立ててEMANONの玄関扉が開き、参加者が少しずつ集まりはじめる。参加者は、市役所職員3名を含み、いつもEMANONを利用している高校生から、郡山から来た高校生、インターンで白河にきたという大学生など10名。ぐるりとスタッフ勢に囲まれて若干緊張した面持ちの顔が並んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その緊張をほぐすかのように、陸奥さんが柔和な口調の大阪弁で話し始める。「では2チームに分かれてもらいますので、じゃんけんで決めまひょか。ぐーぱ!」。かわいい声かけでジャンケンが始まった。途端に小学生のような表情になる参加者たち。そこからもう陸奥ワールドは始まっている。「ぐーちーむ、ぱーちーむ」とこれまた和むネーミングを陸奥さんに与えられ、子供心をヒョイっと引き出された参加者たちの顔が段々と変わっていく。「これから白河のまちを歩いてもらいます。自分が気になったもの、こんなんみつけました、いうもの、スマホで写真にとって送ってもらえれば、こちらでプリントアウトしますんで。大体1時間以内くらいで戻ってきてください」。説明の間に配布されたカードには、大きいQRコードがついている。まち歩きに必要なものはスマホのみ。参加者たちは上着を着込み、カフェの外に出た。ぐーちーむは右へ、ぱーちーむは左へと分けられ、陸奥さんに見送られながら、参加者だけでのまち歩きがスタートしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途端に戸惑う記録班!右か?左か?誰を追いかける?大きな機材を抱えながらあっちへこっちへと走り始める動画班。そんな焦りをよそに、ぱーちーむはいったん輪を作り、自己紹介タイムに。白河の高校生、郡山から来た高校生、同じ活動をする大学生、徳島からEMANONにインターンに来た大学生、今年新人で白河市役所に入った市役所職員。記録班がキョロキョロする中で、お互いの顔と名前を確認すると、結構マイペースにそれぞれの道を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑪

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.11.12
今日は前回見学してもらった「令和3年度 福島県立博物館 秋の企画展 ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」のふり返りを生徒さんたちにしてもらいます。展示されていたものの画像をプロジェクターで映しながら、展示の担当学芸員大里さんがお話します。展示作業の裏話をしたり、雪踏み俵や草鞋などを持ち込んで実際に触ってもらったりしました。ゆっくり見てまわった展示、少し時間をおいて思い出すと違う感じがするものです。
(テキスト・イラスト 江畑芳)