アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート③

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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昭和っぽい模様ガラスがかわいい、レトロな看板もいいね、などなど雑談をしながら歩いていくと、だるま隊長と書かれただるまのキャラクターが飲酒運転根絶を訴える旗が目に入った。すると語り出したのは地元の高校生。「だるま隊長」というネーミングで応募したのは彼女の知り合いなのだそうだ。彼女自身も「だるまりさん」というだるまとお巡りさんを掛け合わせた名前で応募したが落選だったのだそうだ。絶妙なネーミングで、それもいいね!としばし盛り上がる。風にはためくだるま隊長の文字がだるまりさんに変わっているのを想像し、だるまりさんだとやさしく許してくれそうだなとふと思った。


個人的な思い出話というのは、案外面白いもので、しかも個人的なものだから、市販のガイドブックにも歴史の教科書にも出てくることはないが、それが投げ込まれた途端に、その場が劇場になっていくようにも感じる時がある。今回は特に、案内人が不在なまち歩きだからこそ、徒然なるままに、発見したこと共有したり、思い出話を語ったり。そうやって自分たち自身で風景が一気に物語性を帯びる瞬間を重ねていくことで、町の中にある面白さは見る側によって開発されていくものなのだと気づいていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

民家の玄関先に置かれた鳥居、穴が空いた壁。錆びに覆われた標識。謎の祈祷所。電話番号だけの看板ミステリー。謎のミニ博物館。白菜を配る夫婦。歩く先で出会いがあり、面白いものを探し続ける。あっという間に1時間が経ち、急ぎ足でEMANONに戻ってきた参加者たちは「寒い寒い」と言いながらも皆清々しい表情だった。感想を聞くと、「いい町だなと思った。歩いていると人情味を感じた。古いものをあえて残す。そこに、町を大事にしてきた、街に対する愛着が感じられて、とてもいいなと思いました」「今までこんなに細やかに街を見たことがなかった。歩いてみると発見がたくさんあった!」「染物屋の看板でも、タオルって書いてあるのを見て、新しく作り直す場合でも、あえて古い形式を残し続けているところが、いいなあって思った」「普段はそんなにじっくりいろんなものを見ない。もっと街について知りたいと思ったし、また歩きたいと思った」「白菜を配っている老夫婦がいた!留守だろうが軒先に置いて、次々家に置いていっていたんですよ!」「白河の人情味があるコミュニティー、景色だけじゃなく、いろんな人の姿に出会えたのもよかった」「小学校以来行っていなかったお菓子屋のおばちゃんが全く変わっていなかった!」と各々が何かと出会えたという嬉しさに溢れていた。
(テキスト 藤城光)