2022年1月の記事一覧

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート⑥

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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「白河」という街から受け取ったものを、写真を使って表現していく過程からは、自分の嗜好を通して地域そのものが発する語りを感じる力が、それぞれの内側から顔を出してくるのを見るようでもあった。10年後には残らないかもしれない景観や表面には見えない記憶が、歩きや写真、語りを通して個人の中に蓄積されてゆく。個々の価値のありようが可視化され、共有され、互いの視点の交換を通して多くに触れることができる仕組み。それは、その地域にある重層的かつ多様な価値の集合知のようにも見えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれは、何に価値を見出すのかの根っこは、個人個人でしかないという、基本にも立ち帰らせてくれると同時に、3枚に絞り込む瞬間、道順を作った瞬間など、個人の視野からグループへの関わりへと変化するにつれての取捨選択は、個から公へと変化していく過程のようでもあり興味深かった。


実際に体や手を動かし、自分と他者を介在させながら感覚開拓が為されていく点、また、地域を知る楽しさを体感しながらも、気がつけば主体的に地域への眼差しが変化していく点も、このまち歩きスゴロクの醍醐味だろう。例えばまちに残る懐古的なものから過去を大事にする地域性の話が出てくるように、開かれる場所と一緒に作るメンバーによっても、開拓される感覚は変わるはずだ。いろんな地域・場所・人でまち歩きスゴロクを作ってみたらどんなものが浮かび上がってくるだろうか。自分の感覚を通して地域に潜む重層性に触れ、集った異なる視座からさらに多面的に物事を捉えていく経験は、参加者はもちろんのこと、地域自体にも思いもよらないさまざまな価値を付加してゆき、人も地域もより豊かで幸せなものにしていくのではないかと、参加者の皆さんの満足そうな表情をみながら思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート⑤

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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さて、全員の写真のプリントが終わり、机には空欄のスゴロクのシートが置かれ、それぞれが選んだ3枚の写真が渡される。写真は自分以外には見せては行けないルールだ。話す順番を決め、1枚ずつ、選んだ理由を話しながら、写真を置いてゆく。全部が出揃ったところで、もう一度マップで確認しながら歩くルートの道順に合わせて写真を並べ替え、スゴロクのマスに配置する。道順が決定したら糊で写真を貼り付け、写真の横にコメントを入れ、スゴロクの空欄のコマにオリジナルのゲーム性を加え、タイトルを付けたら完成だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じような体験をしているように見えて、出来上がったスゴロクは、チームによってコメントの書き方も拾い上げられた内容も、全く違っていた。スゴロクを始める前に、ぐーちーむ、ぱーちーむで交換。別のチームが見ていた世界が目の前に開かれ、また違うアプローチで作られた視点に目を丸くする参加者たち。そしてサイコロを振りながら、この日のクライマックスであるスゴロクがスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お地蔵さん、お城、自動販売機、何の電話番号かもわからない電話番号。祈祷師。謎の神社&鳥居。謎のミニ博物館。変わらないお菓子屋のおばあちゃんの妖怪疑惑。謎の穴。たくさんのミステリーが展開し、あがりを競うスゴロクのゲーム性にだんだんみんな前のめりとなっていった。“振り出しに戻る”が仕込まれたスゴロクのチームでは「ここまできて〜!?」「うわ〜!!」と奇声が上がり、最初のあがりは、ゴールに進むコマからのジャンプ。「そんなあがりかたある〜?」と笑う陸奥さん。「振り出しに戻るが強烈すぎて内容思い出せない」という感想が出るほど、学生も大人も夢中になってゲームを楽しんでいた。
(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート④

2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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グループごとにテーブルを囲むように座り、まち歩きスゴロク作りで使う写真を3枚選ぶ。選んだ写真をQRコードから読み取ったメールに添付して送り、店内の壁側席で、事務局の山本さんが、どんどんプリントしてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マニアックなのが多いな〜」陸奥さんは、プリントされてゆく写真を見て何やら嬉しそうだ。「大阪は早い。写真もポンポンポーンと散歩中に送られてくる。白河ではみんな戻ってきてから悩み、そこから3枚…スローだねえ」と、じっくりと悩む参加者たちをニコニコと見回してこれまた嬉しそうに呟いた。古いものがそのまま残っている白河の街は、時間の進み自体もスローなのかもしれない。その空気がその場所にいる人にも伝播するのか、EMANONに集まる人たちはゆっくり時間を楽しむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

選び終わった参加者たちは、配られた白河のマップを囲み自分たちが歩いた場所を指差しながらお互いの旅の話をはじめた。1時間歩いたのに、ほとんどの人が意外と狭いエリアをぐるぐると回っていたことに驚く。いっぽう一人ぶらりと歩くのが好きだと話していた学生さんは、地図をはみ出して歩いていたことを知り、これまたみんなの驚きに。駅舎を撮影するのが好きという高校生は、スマホに撮りためた駅舎の写真や小峰城の写真をみんなに見せた。話しながら電車賃のことを「家賃」とつい言ってしまった高校生は、きっと住みたいくらい電車が大好きなのだろう。一人で歩きたい派、一緒にワイワイ歩きたい派など、個性が出るのも面白い。「普段は車で通っているから歩くこと自体が新鮮だった」と語った地元の高校生は、ダルライザー(白河のヒーロー)自販機、駄菓子屋など、よく知っていると思った町での新たな発見やその場所の思い出話を興奮気味に話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(テキスト 藤城光)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑮

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.12.3
ある教室の生徒さんに、まずは博物館に来てもらい、展示を鑑賞した前回。次のステップとして、博物館をより深く知るために、また自分だけの見方や発見を体験するために、テーマを設定しました。「博物館で動物さがし」博物館に隠れている動物を探す企画を西澤さんが考えてくださいました。今回も、博物館に行く前に教室で事前学習をします。西澤さんとサポートに入ってくださる北村美香さんとオンラインで繋いで、企画の説明をします。手作りの青色と赤色の札を各自に配り、意思表示に使ってもらいました。これはクイズに答えることもできるし、わからないことがあったときや助けてほしいときのサインにも使えます。
(テキスト・イラスト 江畑芳)

アートワークショップ「博物館部」レポート⑭

アートワークショップ「博物館部」実施に向けてのあれやこれやを、テキストとイラストでお届けします。
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2021.11.30
今日は支援学校の生徒さんたちに、彫刻家の佐野美里さんとデザイナーの大江ようさんと一緒に展示を見学してもらうワークショップです。佐野さんがやさしく声をかけながら展示室を巡ります。生徒さんは二人。それぞれの興味の持てるところを好きなように見てもらいます。目で見て理解しやすい行程表や、疲れたら休憩する場所も準備しておきました。
一人の生徒さんが疲れてしまったときは、先生がすかさず声をかけてくださり休憩場所に移動。しばらく座り込んでしまいましたが、ゆっくり時間をとると展示室に戻ってくれました。見学を終えて博物館を出るときには晴れやかな表情でした。
(テキスト・イラスト 江畑芳)