厄流しと宝船


①厄流しの船       

②船に飾られる祝いの言葉 

 

  

 一般に厄年とは、人の一生のなかでも災厄に遭いやすいと考えられている一定の年齢のことで、男性の数え25歳や42歳、女性の19歳や33歳などがそれに当たります。なかでも男性42歳と女性33歳は大厄とされ、その前後も前厄・後厄などといわれて各地で厄を払うための習俗が伝えられてきました。
 福島県内では厄年は「歳重ね」や「歳なおし」と呼ばれて人生の大きな節目とされ、特に浜通り・中通りの北部で興味深い行事がみられます。今回ご紹介するのは、伊達市梁川町に伝えられた厄流しの船です。この地域では、男性42歳の厄年には親戚や地域の人々を招待して盛大な祝宴を行いました。宴席では「厄を流す」ための宝船が飾られて祝いの言葉を記した紙が添えられ、また「厄を飛ばす」ために「てんばた」と呼ぶ凧をあげることもありました。手作りの船に厄年の夫婦を乗せたり、宝船を持って集落をめぐったり、浜通りでは船を実際に海に流す地域もあります。
 また厄年の人は歳の数だけてんばた(凧)やてんまり(紙風船)を用意して子供たちに配ったり、地域によっては宴会の参列者に「厄を落す」ための洗剤を返礼品として贈ります。近年、福島市や伊達市周辺では「厄を落とす」ために熨斗紙のついた洗剤を配る風習が定着し、テレビ番組にも取り上げられて話題となりました。

  

開催概要

期 間  2021年10月22日(金)~12月19日(日)

会 場   部門展示室 民俗

主 催  福島県立博物館

料 金  常設展料金でご覧になれます。

     大人・大学生280円(220円)  ※( )内は20名以上の団体

     高校生・小中学生 無料

 


関連行事

ポイント展「厄流しと宝船」ミニ解説会 

講師 内山大介(当館学芸員)
日時 2021年11月28日(日)11:00~11:30
場所 部門展示室民俗
申込方法 10月28日(木)より電話0242-28-6000または受付カウンターでお申し込みを受付けます。
定員 10名(先着順)
参加費 無料(常設展示室入場料金がかかります)
内容 展示を担当した学芸員が分かりやすく解説します。

 

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