アートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」レポート②
2021年12月5日に行われたアートワークショップ「白河まち歩きスゴロクを作ろう!」。
当日参加したアーティストの藤城光さんにレポートしていただきました。
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白河の街は、東北に向かう交通の要所として発展し、松平定信が藩主だったことでも知られている。小峰城がシンボルとして聳え、街中の小径は江戸の城下町の名残りもあり、さらに昭和のレトロ感のある建物があちこちに散在し残っていることから、独特のノスタルジックな雰囲気を醸し出している。そんな小径を歩きながら、寂れた建物を「エモい」とスマホでカシャ!猫を見つけてキャッキャしながら追いかけてカシャ!散歩気分で撮影をする参加者たちの姿は自然で、スマホが普及し、写真を何の気無しに撮ること(プライベートへの配慮は当然必要だが)が日常の風景になっている現在を反映した企画であることを思う。
古い昭和のビルや家が並ぶ細い道を歩いていくと「老舗通り」と書かれた小径が現れ、石畳の道のサイドには「染物屋」と看板を掲げた江戸情緒のある建物が並んでいる。看板に書いてあるメニューや建物の様子などを見て語らいながらの散歩が続き、さらに歩いていくと駅に向かう大通りの奥に小峰城が見えてくる。この道は近年になって電柱を地下に埋め、景観を整備したのだそうだ。交通の要所だったこの地域には全ての宗派の寺があるらしいと市役所職員の解説を聞きながら進むと、河原に出た。川岸に続く細い道が見え、石橋が所々に架かり、遠く山並みを背に情緒ある風景を作り出していた。繁華街近くにある石橋は「親不孝橋」と呼ばれていたのだそうだ。酔っ払って橋から落ちる人が多かったのだろうか…?そんな想像を膨らませながらそちらへと歩いていく。ここでまた河原へと歩き出した1人を見送る。バラバラに歩いているようでいて、小径を曲がるとバッタリ会って合流したり、遠くに姿が見えたり。ゲームのような感覚も楽しみながら、またね、と手を振り合う。いつもは通らない道を、もしくは知らない町を歩くというちょっとした冒険の不安の中で、知った顔に会うと不思議なもので、それぞれの道行の中でも、仲間意識が少しずつ芽生えていくものだ。
親不孝橋を渡り、昭和な街灯が並ぶ飲み屋街へ。ここはかつて白河の竹下通りと呼ばれていたというミニ情報に驚きの声が上がる。すっかり鄙びてしまったビル街では、埃が積もった店内の様子が垣間見えたり、看板は色褪せ、蔦が随所に絡まり、人の気配はほとんど感じられない。…と思いきや、「パブレストラン」という大きめの看板が飛び込んできて、どうやらここは人気店で、カレーが美味しく、有名マスターがいるとの情報が出てくる。ディープ白河がチラリと見えた気がした。
(テキスト 藤城光)