NEW 連続オープンディスカッション「奥会津の周り方」第3回「奥会津の森を活かす」

10月24日(土)、連続オープンディスカッション「奥会津の周り方」第3回「奥会津の森を活かす」を、ただみ・ブナと川のミュージアムで開催しました。
様々な立場から奥会津の森に関わるみなさまにお集まりいただき、「森とともに生きる」ことについてディスカッションを行いました。


昭和村地域おこし協力隊の押部僚太さんは昭和村の民具整理に携わっておられます。
山仕事に関わる道具のみならず、ほとんどの物が木でつくられています。材の特性を知り抜いた上で作られた道具の使い勝手のよさ、自分で山からとってきた材で自分の使う物を工夫して作る楽しさをお話しいただきました。すりこぎなど、料理に関わる道具には、健康によい材や風味をよくする材が使われていることは驚きでした。一方で先人の知恵が失われつつあること、今聞き取りをしておかなければならないこともお話しいただきました。


五十嵐健太さんは、アイパワーフォレスト株式会社に所属し、林業という立場から森に関わっておられます。身近な森を手入れし、生活の糧を持続的に得ていくあり方から、売れる・売れないという経済を優先する見方に変わり、森が放棄され荒れていく。また、気軽に植えた木が手に負えなくなったという理由で、伐採を依頼されるケースも増えているとお聞きしました。そのような中、五十嵐さんが講師をつとめる山学校では、木や森に敬意を持ちながら、安全に手入れしていく方法を森林初心者に伝える活動をします。


中野さんは只見町役場で只見のブナ林をユネスコエコパークに登録・活用する事業に携わり、森林の保全にも当たられています。只見の自然が生み出す特徴的な植生や景観、雪と深く関わった森林活用の形、人々の営みについて教えていただきました。


後半ではモデレーターとして本間宏さん(福島県文化財センター白河館参事兼学芸課長/LMN委員)にお入りいただき、会場も交えてのディスカッションを行いました。
本間さんからは、森林を守り活用していくことと文化財を守り伝えることの近しさが指摘されました。
いずれも現在の経済制度にのっていかない部分だとしても、それらは自分たちが生かされている風土をつくるもの、ただ消費していいものではなく未来の人のためのもの。
経済とは異なる価値観をもって、森とともに生きるあり方をもう一度考えたい、と参加者の方からもお声をいただきました。
経済制度との折り合い、継承者の減少など、さまざまな課題はありますが、
多様な観点から語り合う場が、一つのスタート点になればと思います。