ポリフォニックミュージアム(ライフミュージアムネットワーク実行委員会)

令和3年度地域と共働した博物館創造活動支援事業

ポリフォニックミュージアム

 


ライフミュージアムネットワーク実行委員会はこれまで培ってきたネットワークを基盤として、令和3年度より新たにポリフォニックミュージアムを立ち上げました。

福島県立博物館がプラットフォームとなり、地域ミュージアムや文化スペースと協働することで、
県内各地のミュージアムに社会的課題に向き合うための拠点を設け、活動を拡張します。
それらの拠点は多様性・循環型社会などのキーワードによって結ばれることで、さまざまなミュージアムの星座を描き出すでしょう。

これはICOM京都大会で提案された「過去と未来についての批判的な対話のための民主化を促す包摂的で様々な声に耳を傾ける空間(ポリフォニックスペース)」を各地に創出するための福島県立博物館の試みでもあります。

 具体的には、福島県内の地域ミュージアムや文化スペースと連携・相互支援を行い、アーティストや研究者などから外部の多様で新たな思考方法を取り入れ、高校生などの将来世代を含む多世代と協働することで、ミュージアムの基本機能の強化と新たな活用を図ります。
各地域固有の歴史文化の再認識・再発見と、そこから立ち上がる課題への向き合い方の考察、その先にある未来像の創出を通して、ミュージアム的な場を多様に展開することにより、持続可能な地域社会への貢献を目指します。


事業概要は こちら (PDF形式)

 


ライフミュージアムネットワーク2018₋2020の事業趣旨・概要

お知らせ

2019年度記録映像公開 第4弾・第5弾

2020年8月18日 14時16分

2019年度の開催したスタディツアー・オープンディスカッションの記録映像
第4弾・第5弾を公開しました。

2019年8月30日、9月11日~13日開催
スタディツアー・オープンディスカッション「浪江・二本松交流のこれまで・これから」
→動画はこちら


2019年11月9日・10日開催
スタディツアー「小さな博物館がつなぐ大きな奥会津」
オープンディスカッション「私たちが大切にしたいこと」
→動画はこちら

2019年度記録映像公開 第2弾・第3弾

2020年7月24日 17時36分

2019年度の開催したスタディツアー・オープンディスカッションの記録映像
第2弾・第3弾を公開しました。

2019年11月18日・19日開催
スタディツアー・オープンディスカッション「大熊町のDNA 復興と記憶そして未来」
→動画はこちら

2019年12月26日開催
オープンディスカッション「災害とミュージアム 何を残し、伝えるのか」
→動画はこちら

ぜひご覧ください!

連続オープンディスカッション「奥会津の周り方」第1回・第2回開催のお知らせ

2020年7月16日 18時06分

連続オープンディスカッション「奥会津の周り方」を開催します。


奥会津5町村のミュージアム関係者が対話を重ねるリレー

第1回「文化の泉を掘る~三島町歴史文化基本構想について~」
日時:8月8日(土)14:00~15:30


第2回「清の眼 根っこの眼 それぞれの地域学」(柳津町)
日時:9月19日(土)16:00~18:00

詳しくはこちらをご覧ください。

 

2019年度記録映像公開のお知らせ

2020年7月16日 17時54分

2019年度に開催したスタディツアー、オープンディスカッション、フォーラムを収録した動画を、
福島県立博物館You tubeチャンネルで随時公開していきます。

第1弾は2019年8月4日・5日に福島市と南相馬市で行った
オープンディスカッション・スタディツアー「動物と震災 動物を通じて震災と命を考える。学ぶ。」です。

ぜひご覧ください。

動画はこちら

活動報告

県外事例調査(富山県氷見市)

2021年1月4日 16時23分

県外事例調査として、富山県氷見市の氷見市立博物館にお邪魔いたしました。


今回の目的は、氷見市立博物館が長年に渡って取り組んでいらっしゃる「地域回想法」。
氷見市教育委員会に所属しながら氷見市立博物館における「地域回想法」を育て上げてきた小谷超さんにお話を伺いました。


そもそも、「回想法」とは、写真や音楽、昔使っていた道具を見たり触ったりしながら、昔の経験や思い出を語り合うといった心理療法の一種で、認知症の方へのアプローチとして注目されています。ポイントは「過去を振り返り、楽しむこと」を活用すること。
そして「地域回想法」とは簡単にいえば「地域で行う回想法」。
回想法では、上に挙げたようなモノ・コトを用いて回想を行います。当然それらは参加者誰もが知っているものであることが望ましい。参加者が同じ地域の方々なら、そこで日常的に使われてきた道具、育まれてきた文化が共通項になります。
地域(その範囲の広狭はあれ)の歴史や文化を見つめてきたミュージアムには、そんな「過去を思い出す」ために活用できる様々な資料が集められているわけですから、回想法を利用した事業と相性がいい。ということで、近年こうした取り組みを始めるミュージアムも増加しています。


とはいえ、継続的な事業へと発展・維持されている例は少ないのが現状です。
そもそもこうした高齢者を対象にした事業に理解が示されないこと、ミュージアムも介護福祉施設も慢性的な人員不足から負担が大きくなり過ぎてしまうこと…。
氷見市立博物館では平成23年度から本格的に「地域回想法」を実施し始めましたが、小谷さんも、最初は予算もない中で手探りからのスタートだったとおっしゃいます。
その中で、高齢者施設の方の入館料を無料にしたり、介護職の方に向けた研修会を行ったり、地域の高齢者の集いに出かけて行ったりと、様々な働きかけを行ったそうです。博物館の認知度が低いことに悩み、国の助成金が得てバスの送迎付きで博物館に足を運んでもらうこともしたそうです。その後、事業が停滞した時期もあったそうですが、平成29年には氷見市地域回想法活動ネットワーク連絡会「ほっこり回想クラブひみ」を結成。介護職員や看護師、地域のボランティアの方々を中心に、市民主体での主体的な活動が継続して行われているのです。


氷見市立博物館で地域回想法が継続されている理由はどこにあるのでしょうか。
第一には小谷さんの存在があるでしょう。「人とお話することが楽しくて、好きなだけなんです」とはにかんだような笑顔とは対照的なパワフルさ。回想法や心理療法の専門家ではなかったにもかかわらず、模索しながらこの事業をけん引してきたバイタリティには脱帽です。
一方で、様々な立場の人を上手く巻き込んできたのも成功の秘訣なのでしょう。介護施設、市の福祉・介護予防部局との連携、元あるいは現役の介護・医療職の方を含めた市民活動。多くの歯車がかみ合って、氷見市の地域回想法が回っているように感じました。


小谷さんは地域回想法を通じて、高齢者の方々と小学生の交流事業を行ったときのこと。昔の話を色々と聞かせていただいた後、最後に「80年生きてきたおばあちゃんの手をさわってみましょう」と呼びかけ、小学生たちはその手をさわり握らせていただいたそうです。
老いるということは何かを失うだけでなく、経験という豊かな財産を蓄積させていくことなのだと、そしてそれは何ものにも代えがたい価値のあることなのだと、私たちは改めて認識しなければいけないのでしょう。