古墳時代の器には、土器と木製の器がありますが、通常、木製の器は残りにくいため、遺跡から発見される器の多くは、土師器と須恵器と呼ばれる土器です。古墳時代の初め(3・4世紀)には、前代の弥生土器の流れをくむ土師器が使用されていましたが、5世紀には、朝鮮半島から伝来した技術で製作された須恵器が、新しい器として加わります。ただし、日常用いられた器の主体は土師器で、東北地方で日用品としての須恵器が普及するのは古墳時代の終わりごろだと考えられています。
会津若松市村西遺跡からは古墳時代(6世紀前半)の竪穴住居跡が発見されており、その床面などからほぼ完全な形をした土師器が出土しています。この住居跡は四隅が丸い形をしており、広さは8畳程。4本柱であったことがわかっています。南側の壁には、カマドが築かれ、その脇には、貯蔵穴と考えられる穴が掘られています。カマドでは、甕が支脚の石の上に置かれた状態で発見され、貯蔵穴では、甕が据えられた状態で発見されました。
出土した土器には、現在の鍋に相当する甕や食物を盛るための鉢、銘々がご飯茶碗のように用いていたと考えられる杯、蒸し器と考えられる甑があり、当時の調理具や食器のセットを窺い知ることができます。カマドでは、甕を用いて煮炊きをしたり、水を入れた甕の上に甑をのせて穀物などを蒸したりして調理し、できた料理を鉢や杯に盛って食事をしていた当時の食卓の風景を垣間見ることができます。また、出土することはまれですが、木製の器も食器として使用されていたことが想像されます。
開催概要 |
期 間 2022年10月22日(土)~2022年11月25日(金)
会 場 総合展示室 古代
主 催 福島県立博物館
料 金 常設展料金でご覧になれます。
大人・大学生280円(220円) ※( )内は20名以上の団体
高校生・小中学生 無料
関連行事 |
ポイント展「器から探る古墳時代のくらし」ミニ解説会
講師 | 田中 敏(当館専門員) |
日時 | 2022年11月13日(日)11:00~11:30 |
場所 | 総合展示室 古代 |
申込 |
要申込 開催日の1か月前より受付を開始します。 当館受付カウンターもしくはお電話(0242-28-6000)にてお申し込みください。 |
定員 | 15名 |
参加費 | 無料 |
内容 | 展示を担当した学芸員が分かりやすく解説します。 |