古代官道をゆく

多賀城跡(宮城県多賀城市)から出土した9世紀の過書木簡(通行手形)には、「安積團 解 ▢▢番▢▢事 畢番度玉前剗還夲圡安積團会津郡番度還」と書かれたものがあります。ここから安積軍団に所属する兵士が任務を終え、玉前剗(関)を通って会津郡に帰ることを申請した内容が読み取れます。兵士が通過した「玉前剗」は現在の宮城県岩沼市原遺跡付近に推定される「玉前駅家」に関連する施設と考えられています。「剗」は勿来剗(関)・白河剗(関)と同様に他国との境界に置かれた施設であることから、玉前剗は718(養老2)年に陸奥国を三分して陸奥国・石城国・石背国とした際に、「陸奥国」との境界に置かれたとも考えられます。

一方、会津若松市大戸地区に広がる会津大戸窯は、古代から中世にかけて大規模に須恵器の生産が行われた遺跡です。ここで生産された長頸瓶は頸部にリング状の突帯があることが特徴です。近年、その流通範囲が広域にわたり、北は岩手県宮古市・秋田県にかほ市、西は越後国にあたる新潟県新潟市にまで広がっていることが確認されています。とくに宮城県では多賀城跡に至る上記の岩沼市原遺跡(玉前駅家推定地)、白石市中ノ在家遺跡(篤樫駅家推定地近傍)、亘理町三十三間堂遺跡(亘理郡衙)などの官衙に関連した遺跡からの発見が相次いでいます。

国府多賀城を中心とした官道を行き交う人びとと、会津で焼かれたやきものの旅路の一端を、宮城県下の出土遺物を中心にご紹介します。

 

開催概要

期 間  2023年9月30日(土)~2023年11月26日(日)

会 場  総合展示室 近世

主 催  福島県立博物館

料 金  常設展料金でご覧になれます。

     大人・大学生280円(220円)  ※( )内は20名以上の団体

     高校生・小中学生 無料

     ※11月3日(金・祝)は「文化の日」のため、常設展観覧料が無料です。

 

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