ふくしまを耕した古代の農具



①古代の農具「田下駄」(いわき市・大猿田遺跡出土、福島県文化財センター白河館所蔵)

②古代の農具「コロバシ」(会津若松市・西木流C遺跡出土、福島県文化財センター白河館所蔵)

 

 

 

 平安時代は新田開発の時代でした。とくに陸奥国南部に位置する福島県域は、国府・郡役所をはじめとした多くの人々によって開墾が進められたと考えられます。そこには“最先端”の農具も投入され、様々な工夫がおこなわれたことがわかってきました。

 常磐自動車道四倉インターチェンジの建設に伴い調査された大猿田遺跡(いわき市)は、仁井田川流域の戸田条里遺跡を見下ろす高台にあり、8世紀中ごろの木製品や加工途中の未成品が出土しています。その多様さから、古代磐城郡に属する官営の木器生産の工房であったとも考えられています。農工具を集中的に生産し、便利な道具を普及して農業生産を高めようとしたのでしょう。

 また西木流C遺跡(会津若松市)からは、旧河道から11世紀のものと考えられる「コロバシ」が出土しました。全国で7例しか発見されていない貴重な大型農具で、家畜の力を利用して水田の砕土・整地や緑肥をすき込むことに用いられたと考えられます。平安時代後半は在地の有力者である「開発領主」による初期荘園の開発が進み、荘園・公領の土地管理を明確にしようとされた時期です。中国大陸に系譜が求められる最新の農具を投入し、限られた水田を効率的に経営しようと試みたことがわかります。

 古代から脈々とおこなわれてきた水稲農耕の工夫について、県文化財センター白河館「まほろん」所蔵資料からご紹介します。

  

開催概要

期 間  2021年8月7日(土)~ 9月26日(日)

会 場  総合展示室 古代

主 催  福島県立博物館

料 金  常設展料金でご覧になれます。

     大人・大学生280円(220円)  ※( )内は20名以上の団体

     高校生・小中学生 無料

 


関連行事

ポイント展「ふくしまを耕した古代の農具」ミニ解説会 

講師 山本俊(当館学芸員)
日時 2021年9月19日(日)11:00~11:30
場所 講堂
申込 不要
定員 100名(先着順)
参加費 無料
内容 展示を担当した学芸員が分かりやすく解説します。

 

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