いわきの石炭をつくった植物たち
カエデスズカケ(プラタナスのなかま)
福島県双葉地域から茨城県日立市にまたがる常磐炭田は本州最大の炭田です。現在のいわき市や北茨城市には、明治から昭和期にかけていくつもの炭砿が開かれ、盛んに石炭の採掘が行われました。
常磐炭田の石炭は石城層(いわきそう)と呼ばれる地層中に含まれています。石城層が堆積した古第三紀には、現在の日本列島はまだ誕生しておらず、のちに日本列島の土台石となった地殻は、当時はユーラシア大陸の東縁の一部を形づくっていました。
石城層から産出する植物化石には、メタセコイアやイヌスギなどの針葉樹や、ポプラ、カンバ、シデ、プラタナスなど温帯性の広葉樹が多く見られます。バショウ科やヤシ科など亜熱帯~熱帯性の種類も多少は見つかっていますが、産出する植物の種類は、基本的に温帯性の気候を示しています。
常磐炭田では、石炭の採掘が終了してすでに長い時間が過ぎました。しかし石城層は、石炭と豊富な植物化石を含んだまま、昔と変わることなくその場に存在しています。今後も、それらの植物化石を詳しく調べていけば、未来の地球環境を考える上でいっそう重要な古環境のデータが得られるものと思われます。
開催概要 |
期 間 2019年9月14日(土)~10月18日(金)
会 場 常設展部門展示室 自然
料 金 常設展料金でご覧になれます。
大人・大学生280円(220円) ※( )内は20名以上の団体
高校生・小中学生 無料